使う人が技術に詳しくない前提でアプリを作るときに決めたこと

家族が使う前提で議事録アプリを作りました。便利な既定値をあえて廃止した理由など、操作を減らすことより事故を減らすことを優先した判断を書きます。

会議の録音から議事録を作るアプリを、家族が使う前提で作りました。

技術に詳しい人が使う前提で作るのと、そうでない人が使う前提で作るのとでは、 判断の基準が変わります。操作を減らすことより、事故を減らすことが優先になります。

便利な既定値を廃止した

最初は、送信先のメールアドレスに既定値を設定できるようにしていました。 毎回入力しなくて済むので、便利なはずでした。

これを廃止しました。

理由は、複数人で使うようになったからです。 宛先欄に他人のアドレスが最初から入っていると、気付かずにそのまま送ってしまいます

議事録には会議の内容が入ります。誤送信の被害が大きい種類の文書です。

環境変数に古い設定が残っていても読み込まないようにして、 「昔の設定が生きていた」という事故も塞ぎました。

入力の手間が1回増えることと、誤送信が1回起きることは、釣り合いません。

操作の手順を数える

使う人の操作は、次の4つだけになるよう設計しました。

  1. サイトを開く
  2. 録音ファイルを選ぶ
  3. 合言葉を入れてボタンを押す
  4. 内容を確認して確定する

ここに「設定を開いて…」が入ると、使われなくなります。 設定が必要な項目は、運営側(作った本人)が環境変数で持つようにしました。

技術に詳しくない人向けのアプリでは、 設定項目の数がそのまま脱落率になると考えています。

生成結果をそのまま送らない

AIが作った議事録を、確認なしでメール送信する作りにはしませんでした。

処理を2段階に分けています。

  1. AIが書き起こしと議事録の生成を行い、画面にプレビューを出す
  2. 内容をその場で確認・修正し、問題なければ確定する

生成AIは間違えます。人名や数字は特に間違えます。 間違えたものが確認なしに他人へ届く経路は作らないほうがよいと判断しました。

修正できることが分かっていると、使う側も安心して任せられます。

「壊れている」と言われないようにする

無料プランのサーバーは、しばらく使わないとスリープします。 再開時に起動へ1分ほどかかります。

これは仕様なのですが、使う人には故障に見えます。 説明書に「故障ではありません」と明記しました。

同様に、メールが迷惑メールフォルダへ入る問題も、 アプリ側では解決できないので、事前に受信許可の設定を依頼する手順を最初に書きました。

技術的に正しく動いていても、使う人から見て「動いていない」なら同じことです。 説明で吸収できるものは説明で吸収するしかありません。

認証を省略しない

URLを知っていれば誰でも使える状態にはしませんでした。 合言葉を必須にし、未設定だと動かないようにしています。

「身内しか知らないURLだから大丈夫」は、成り立ちません。 録音や会議資料をアップロードするアプリなので、 URLが漏れた時点で全部漏れる構成は避ける必要がありました。

個人別の合言葉も設定できるようにして、誰が使ったか分かるようにしています。

データの扱いを先に説明する

録音や資料は、処理のために外部のAIサービスへ送られます。 無料枠では、送った内容がサービス改善に使われる場合があります。

これは説明書の目立つ位置に書きました。

社外秘や個人情報が多い会議での利用は避けてください。

便利さを訴求する文章の中に、使わないほうがよい場面を書くのは気が進みませんが、 知らずに使わせるほうが問題です。

一時ファイルは処理後すぐ削除し、生成した議事録も一定時間で自動消去するようにしています。

まとめ

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